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中学生留学:宿題から垣間見るカナダ式学び【実例・写真付き】

こんにちは。子ども教育キャンバスのハルです。

「カナダの中学校では、どんな授業が行われている?」「子どもに英語環境で学ばせたい」「実際の授業や宿題の内容が気になる」…そんな方に向けて、今回は移住先のカナダで現地校に通う中学生の娘の体験をもとに、リアルな課題の中身と、現地ならではの学びのスタイルを紹介します!

 

この記事で分かること

  • カナダの中学校での実際の課題内容と形式
  • 現地での学習方法と必要なスキル
  • カナダの教育スタイルの特徴
  • カナダの中学校特有の雰囲気から得られる自己肯定感

カナダの中学校での実際の課題例:English(国語)の授業

今回紹介するのは、英語(カナダでいう国語)の授業での実際の課題(アサインメント)です。課題には個人で取り組むものとチーム単位のものがありますが、今回は個人課題をご紹介します。中学の授業全体の特徴として、暗記中心ではなく、資料作成やプレゼンテーションが重視されています。

ではどのように取り組む形式になっているのかをみていきましょう。

課題への取り組み方

まず、課題はグーグルクラスルームにアップされます。それを生徒本人が確認して、授業の時間や学校外の時間を通して締め切り日までに提出するかたちになっています。課題の目的、取り組み方、満たすべき要件がつぎのように指示されます。

Assignment Summary: ※Google Classroomにアップされたものを要約

This project requires students to explore current events shaping our world through the following steps:

  • Brainstorm and conduct preliminary research on 8 different current events
  • Become an expert on chosen topic using credible sources (starting with Wikipedia)
  • Find and analyze 3 primary sources related to the topic
  • Develop a Level-3 Question* about the event's global impact
  • Create a Project Proposal and conference with Mr. Donahoe
  • Spend 2 weeks preparing research and formal presentation
  • Present findings to the class

Success criteria include proper research methodology, primary source analysis, clear questioning, and effective presentation skills. The project aims to develop inquiry-based learning and research capabilities.

*a Level-3 Question(レベル3の質問)とは、出来事やトピックの世界的な影響とより広い意味合いを探求する高次の思考を要する質問です。この学習課題では、生徒が選んだ時事問題の世界的な重要性を分析・評価することが求められます。

<日本語訳>

課題の概要:

このプロジェクトでは、生徒たちが以下のステップを通じて世界を形作る現代の出来事を探求することが求められます:

  • 8つの異なる時事問題についてブレインストーミングと予備調査を行う
  • 信頼できる情報源(まずはWikipediaから)を使用して選択したトピックの専門家になる
  • そのトピックに関連する3つの一次資料を見つけて分析する
  • その出来事の世界的な影響についてレベル3の質問を作成する
  • プロジェクト提案書を作成し、先生と相談する
  • 2週間かけて研究とフォーマルなプレゼンテーションの準備を行う
  • クラスで調査結果を発表する

成功基準には、適切な研究方法、一次資料の分析、明確な質問、効果的なプレゼンテーションスキルが含まれます。このプロジェクトは、探究型学習と研究能力の向上を目的としています。

必要とされるスキル

英語力

学習を成功させるには、資料を読み解く力、先生や級友とコミュニケーションを取る対話力、そしてプレゼンテーションのための作文力とスピーキング力が必要となります。

その他のスキル

また、デジタルツールを効果的に活用する能力、情報を収集・分析する力、そしてプレゼンテーションを通じて自分の考えを効果的に伝える能力も重要です。

積極的な質問を通じて成長する学び方

娘は先生から「とてもいい発表だったわね」と言われたそうです。しかし、彼女は日本語が第一言語で、英語の語彙力は中級レベルです。なのでプレゼン前には必ず台本を作ってしゃべる練習をしています。では、どのようにしてこの課題を成功させたのでしょうか?

答えはシンプルです。分からない点があれば、積極的に先生に質問したそうです。これは私もカナダでの仕事で実践していることですが、分からないことを隠さずに「分からない」と声を上げて解決していく姿勢が、英語力と同等か、それ以上に重要です。

「分からない」と言ったり質問することに対してハードルを感じる人がいるかもしれませんが、カナダの学校の授業には先生たちのオープンな姿勢による質問しやすい雰囲気があります。英語を母語としない生徒に対してもネイティブの子に対しても平等に、質問をすれば先生たちは積極的にサポートしてくれます。娘が4年前にカナダに来たときから変わらない、先生方に共通する特徴です。もっと言えば、テスト中にも生徒の質問に先生が答えてくれることもあります。

私が通っていたカレッジのテストでは、生徒がテスト問題の意図が分からないときに質問すると、先生が丁寧に説明してくれる場面を何度も見てきました(もちろん、答えは教えてもらえませんが(笑))。

2023年後半以降、フーシ派が紅海で商船を攻撃している問題について述べた提案書。(Canva利用ー多くの子が使っているそうです。)

ポジティブな環境で育む実践的なスキルと自信

カナダでの学びの特徴は、実践的なコミュニケーションスキルの育成に重点が置かれています。情報を自分なりに咀嚼し、それをメッセージとしてアウトプットすることが、ディスカッションや資料作成、プレゼンテーションを通して日常的に求められます。子どもたちが将来大人になったときに、多様な文化や価値観を持つ人々とコミュニケーションを取りながら仕事を進める上で必要となるスキルを、学校教育のなかで学べる機会となっています。

そして評価づけにしても、先生方がとてもポジティブ!ダメ出しは一切ありません。基本的に何でも褒めてくれます。4年前、アルファベットが読める程度で英語の文章の作り方も分からなかった、当時小6だった娘も何度「Great job!」という言葉に支えられたことか。。

この国には「失敗」という概念はないのでは?と思うくらい、必ず良かった点を褒めてくれ、改善点がある場合は補足的に教えてくれます。コミュニケーションの前提が「相手の話を聞く」「肯定的に受け止める」なので、最初は自信がなくても、そのうちどんどん自分に自信が持てるようになり、「自分はまあよくやったんだ。次はもっとできるようになりたい」となっていくのです。「完璧じゃないとだめ」「ミスはだめ」「こうあるべき」という空気感は一切ありません。

ただ良くも悪くも、先生に強制力はないので、頑張りやさんはどんどん頑張るし、リラックスしたい人はどんどんリラックスしていくかもしれません。。

まとめ

カナダの中学校での学びは、単なる英語学習を超えて、将来の可能性を大きく広げる機会だなと娘を傍で見ていて感じています。対等に意見交換ができる風通しの良い環境下で、自分の頭で考えて・まとめて・発信する練習を重ねる。それが「自分の考えを意見の違う友達や立場の違う先生に理解してもらえた」という成功体験、対人スキルへの自信につながっていく。長い目で見ると英語力だけでなく、自己表現力も自然と身についてくるのではと思います。

この記事で紹介した課題例は、カナダの教育現場での実際の取り組みの一例です。留学を検討する際の参考にしていただければ幸いです^^


  • この記事を書いた人

Haru

2021年秋にカナダ・ハリファックスへ家族5人(未就学児〜小学高学年の子ども3人と夫)で移住。語学学校とカレッジを経て、2023年より現地のデイケアでECE(保育士)としてフルタイム勤務。2024年春に永住権取得。 当ブログ「子ども教育キャンバス」では、カナダハリファックスを中心とした生活情報や子育て関連情報を現地からお届けしています。 子どもを連れて日本を飛び出し、海外でゼロから生活基盤を立ち上げて暮らすことは、真っ白なキャンバスに絵を描いていくようなもの。このブログを通して一人ひとりが思い描いた生活を実現できるお手伝いができると嬉しいです!

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