「海外で暮らしてみたいけれど、英語に自信がない…」「子どもと一緒に、何かを変えるきっかけが欲しい」
そんな思いを抱えているお母さんへ。この記事では、カナダで親子留学をした私たち家族が、実際に体験して得られた7つのことをお伝えします。
英語力はもちろん、自己表現力や家族の絆、どんな環境にも向き合っていける“生きる力”のようなものまで、私たち親子はカナダで本当にたくさんの学びを得ました。
「子どものために始めた留学だったけれど、自分自身も変わった」──そんな気づきがあったからこそ、これから親子留学を考えている方に、リアルな視点で少しでもヒントを届けられたら嬉しいです。
目次
1. 実践的な英語力が身についた
毎日が「生きた英語」との勝負。教科書では得られない本当の英語力が身につきます。
英語環境にどっぷり浸かる生活では、自然と「通じる英語」へと変化していきました。
ある日、英語教材の音声が「遅い」と感じたとき、自分でも驚きました。
カナダでは移民も多く、さまざまなアクセントや話し方に触れる機会が日常的にあります。英語はネイティブ英語だけじゃない、英語にもいろいろなイントネーションがあるんだとも思いました。
文法の間違いもちらほら。でも通じているし、仕事をしてお金を得ている人がたくさんいる!英語は完璧じゃなくていいんだ、という励まされた気持ちになりました。
「伝わればOK」から始まる英語習得は、ハードだけど効果的です。もはや、英語学習はお勉強ではなくて「運動」に近いと思います!
📊 カナダの移民比率は人口の23%以上(2021年国勢調査)。多様な英語に日常的に触れられる環境です。
2. 自然との共生が当たり前になった
自然は「見るもの」ではなく「一緒に生きるもの」。感性や五感が育ちます。
都市に住んでいても、森や湖がすぐそば。
リスや鹿に出会ったり、冬はスケートや雪遊び、夏は川や湖で泳ぐなど、自然との関わりは日常そのものです。子どもたちは自然の中で過ごすことで、視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚という五感を豊かに育んでいるように感じます。
- 「雪がたくさん降ったから明日路面が凍結するかな?休校かな?」といったように予測を立てる
- 「雨上がりにかもめがたくさん空を舞っている。なんでだろう?」という疑問を持つ
といったように実体験を通じた学びを積み重ねていきます。大人にとっても、自然が身近にある暮らしは心を落ち着かせ、日々の生活に豊かさをもたらしてくれることに気づかされます。この「自然との距離の近さ」は、カナダならではの教育環境の大きな特徴だと思います。
📊 カナダは国土の90%以上が自然エリア。都市でも公園面積比率が高く、自然との距離が非常に近い国です。
出典:Government of Canada - Canadian Protected and Conserved Areas Database
3. 家族の絆が深まった
カナダの学校には、パジャマデーやスナックタイムなど、日本とはちょっと違った文化がたくさんあって、親の私たちも「え、そうなの?」と驚くことばかりです。
たとえば登校前、「今日は何を着ていく?」「おやつ、何持っていこうか?」なんて話をしながら一緒に準備したり、送迎の時間にぽろっと出てくる子どもの話を聞いたり。そんな日々のやりとりが自然と増えて、親子の距離もぐっと近くなりました。
親子留学を始めたばかりの頃は、学校生活に緊張していた末っ子が、ある日こんなふうに話してくれました。
- 「先生にトイレ行きたいって言えたよ」
- 「友達が遊ぼうって声かけてくれた!」
- 「今日、新しい子がクラスに来たんだよ」
子どもが嬉しそうに学校のことを話してくれる姿を見ると、「ああ、この子はこの場所でちゃんと前に進んでるんだな」と胸がいっぱいになります。私たちが知らない世界を、自分の言葉で教えてくれるその姿に、たくましさや誇らしさを感じました。
ある調査では、親子の会話が1日30分以上ある子どもは、自己肯定感が高い傾向にあるそうです。慣れない海外生活の中でも、「こんなことがあったよ」と話を交わす時間を積み重ねていくうちに、子どもたちの表情もどんどん柔らかくなっていきました。
📊 日本青少年研究所の調査(2024年)によると、親との会話時間が長い子どもほど、自己肯定感が高い傾向があると報告されています。
新しい文化や価値観に家族で向き合うことで、毎日の会話も増えて、自然と気持ちの距離も縮まっていく――。親子で一緒に環境の変化を乗り越えていく体験は、家族の絆をぐっと深めてくれました。
4. 環境適応力・サバイバル力がついた
わからないことだらけでも、まず行動。やってみる力が自然と身についていきました。
病院の予約、銀行の口座開設、学校とのやりとり……。
日本とまったく違うルールや手続きに、最初は毎日が戸惑いの連続でした。
それでも、「とりあえず行ってみる」「英語がすぐに出てこないなら、あらかじめ伝えたいことを書き出してから行こう」と、行動することで道が開けていくのを何度も実感しました。
そうやって動いていくうちに、「あれこれ考えて足が止まるより、まずやってみよう」というマインドが少しずつ育っていきました。
そしてふと気づくと、そんなママやパパの姿を、子どもたちもよく見ていました。
- 「ママやパパ、今日また電話してたね」
- 「わからないことあっても、ちゃんと聞いてたよね」
特別な言葉をかけたわけではないけれど、大人が一歩ずつ不安を乗り越えていく姿は、子どもにとっての“生きたお手本”になっているんだなと感じます。
留学中は、子どもがたくさんのことを学ぶ期間だと思われがちですが、実はママやパパの頑張る姿こそが、子どもにとって大きな学びにつながっているのかもしれません。
5. 自己表現力が育った
「伝えないと伝わらない」環境で、自分の意見をはっきり言えるようになりました。
カナダでは「察する」文化は通用しません。
だからこそ、言いたいことをしっかり言葉にする力が鍛えられます。
例えば、私がカレッジ生だったとき、食べ物を持ち寄るPotluck Partyがありました。
作ってきた子が「これどうぞ」と言った時に
「あ、苦手だから大丈夫、ありがとう!」
「あ、そうなんだ、オッケー」
というやりとりがありましたが、雰囲気が悪くなることは一切なし。その後も普通に楽しそうに会話していました。
「私はこう思う」「これは嫌い」など、どんな意見に対しても寛容な雰囲気なのは、「自然体で生きる」ことを可能にしてくれる環境だなと感じました。私自身も気楽に過ごすことができています。
6. 自立心が育った
誰も助けてくれない。だからこそ、自分で動く力がつきました。
トラブル対応や手続きのミスなど、待っているだけでは何も解決しません。
「調べて、動いて、確認して…」そんなサイクルを日々こなす中で、自然と「自分でなんとかする力」がついていきました。
娘が通う中学校でも、アサインメントはGoogle Classroom上でアップロードされますが、先生からのリマインドはありません。
自分で期日を意識しながら取り組む必要があるので、計画力が身についてきているようにも感じます。
7. 多様性への寛容さが自然と身についた
違って当たり前の環境で、人への理解や共感力が育ちました。
いろんな宗教、文化、言語背景の人がいるカナダ。
子どもも大人も、日常的に「違い」と出会うことで、それを受け入れる力が育っていきます。
「違う=悪い」ではなく、「違う=知るチャンス」。そう思えるようになったのは、大きな成長でした。
娘のお友達の1人は、ムスリムの子。ラマダン中は家族行事が優先されるので、その日を外して一緒に遊ぶ日程を決めたりしています。
約束してもその約束が実行されるのかは当日にならないと分からない、グループワークがスムーズに行くかはパートナー次第、というスリルも体験していますが、娘はさまざまな文化背景を持つお友達と日々学校生活を送ることで、寛容性を身につけているように思います。
まとめ|「子どものため」だった親子留学が、自分自身の変化にもつながった
親子留学で得られたのは、英語力や異文化体験だけではありませんでした。
自然の中で暮らし、戸惑いながらも行動し、自分の言葉で思いを伝え、いろんな価値観にふれる——
そんな毎日の積み重ねの中で、子どもだけでなく、私自身にもたくさんの変化がありました。
「帰国子女じゃない私が、本当に海外でやっていけるのかな」
そんな気持ちがどこかにあったけれど、実際に暮らしてみて感じたのは、完璧じゃなくても、少しずつ慣れていけるということ。環境に身を置くことで、自然とできることが増えていくんだな、という実感でした。
親子留学は、子どもにとっての貴重な経験になるのはもちろんですが、親にとっても、暮らしや価値観を見つめ直す機会になると思います。
これから留学を考えている方にとって、少しでも参考になればうれしいです。