カナダでの子育てってどんな環境なのか気になりますよね?約2年住んでみて思ったことを紹介したいと思います。親子留学を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
カナダ・ハリファックスの子育て教育環境 ここが良い!
良い点1:自然が近い
ハリファックスは、自然と利便性のバランスが良いのが魅力です。スーパーは家の真向かい、15分くらい歩けば鹿に会える、カフェも徒歩3分と車がなくても生活には困らないので、個人的には東京に住んでいたころよりQOLの向上が実感できています。車で15分くらい走れば湖もあり、冬はスケートを楽しむこともできるし、トレイルで森の中を歩くこともできます。
良い点2:大人が子どもに優しい
特に現地のカナダの人は子どもと目が合うとほほえみ返してくれます。以前、大雪の日にTim Hortonsの駐車場付近で息子が雪あそびをしていました。私が危ないからやめてというも、聞かず…その横をパトカーがカフェの駐車場に入ってきました。(警察官が勤務にカフェを利用するのはカナダでは当たり前の光景です)するとしばらくして、ポリスが私に向かって話しかけてきました。「こんなところで遊ばせないでください」って怒られるかなとビクビクしていたらなんと「お子さんにチョコレートクッキーあげていい?」と。お巡りさんが入店時に息子を見かけて、コーヒーを買うついでにクッキーを買ってくれたのでした!おまわりさんからクッキーを買ってもらうという人生初の体験をして息子は大喜びでした。
良い点3:親が子どもや家族のために休みを取りやすい雰囲気がある
私が通っていたカレッジは毎日8時半〜4時のフルタイム・プログラムで出席率90%以上が求められる学校だったのですが、「息子の誕生日だから休みます!」「お姉ちゃんの卒業式だから休みます!」という人がたくさんいました。子どもだけでなく家族のために休むのは当たり前だよね、という雰囲気があります。私が息子の誕生日のために休んだ翌日も、先生から「息子くんの誕生日はどうだった?」と聞いてくれて、とても嬉しかったです。
良い点4:子どもに対する社会の目が優しい
図書館である小学生の男の子が大泣きをしてしまったときに、図書館に来ていた年配の女性が「ここで大きな声出しちゃだめ!」とその子に叱る光景を目撃しました。カナダでもそんなことがあるのか…と衝撃を受けていたらしばらくしたあと、図書館スタッフの方がその子とお父さんに近づいてきて「お子さんは大丈夫ですよ。あの人がお子さんを叱ってごめんなさい。上司に相談して、さきほどの女性に、態度が不適切なので控えるように忠告をしておきました。ほんとにごめんなさい」と言っていました。図書館はパブリックスペースなので暴力行為や迷惑行為でない限りはどんな人でも受け入れるというスタンスで、子どもが泣くのはごく当たり前だと認識されていることを感じた体験でした。
良い点5:ボランティア活動の機会が身近にある
娘がバレエのインテンシブ・コースに通っているのですが、入ってまもない頃、ボランティア募集のメールをいただきました。内容は、小さい子のクラスで、先生のお手伝いをするというものです。日本でもバレエを習っていましたが、そのような機会がなかったので、とても新鮮でした。ボランディアでは7歳児クラスのバレエレッスンのポーズの見本やバーレッスン、センターレッスンの踊り出しのタイミングのサポートをしています。
良い点6:考える力・表現力が身につく
カナダの小学校では計算問題に取り組むこともありますが、とにかく「読書」「資料作成」「プレゼンテーション」に取り組む時間が長いです。年中の娘はカナダ・ハリファックスでは義務教育1年目のグレード・プライマーという学年からスタートしましたが、毎週図書館から本を借りてきて親に読んでもらうという宿題がありました。グレード1に上がったときは、毎日音読する時間を決めて、音読したら色を塗るという取り組みが宿題として毎日課されました。グレード6のお姉ちゃんは(日本の小学6年生)、日本の行事についてのプレゼンテーションをグーグルスライドで作り、みんなの前で発表したそうです。グレード3(日本の小学2年生)の息子も同様にグーグルスライドでプレゼンテーションを作り、発表をしたそうです。
カナダ・ハリファックスの子育て教育環境 ここが惜しい!
惜しい点1:身体能力を高めにくい
カナダ・ハリファックスの小学校でもGymと呼ばれる体育の授業はありますが、週に1〜2回程度で、時間も30分と短いです。実際の授業では、音楽に合わせて踊ったり、体育館で自由に遊ぶことが多いそうです。日本のように飛び箱、マット、鉄棒、徒競走、などの種目の学習はしないので、カナダの体育教育では様々な身体の動かし方を学んだり、その基礎を正しく学ぶとことは重要視されていない印象を受けました。とにかく、体を動かすことを楽しむ(Well-beingを育む)のが第一という考えのようです。Gymの時間には、バスケットボールをする子もいれば、サッカーもする子もいるし、各々が好きなことを好きなように楽しんでいるようです。ただ、課外活動(習い事)のアイスホッケーに関しては熱心な雰囲気があります。みんなスケート上手!
惜しい点2:親の学校送迎が基本必須になる
カナダは世界のなかでも治安が良いと言われていますが、日本ほどではありません。基本的に小学生は一人でお留守番することは推奨されていませんし、学校のお迎えは必須になります。我が家の子ども達が通う学校は2時50分に終わり、校舎のドアも閉まるため、それに合わせて親がお迎えに行きます。お迎えに間に合わない親は、ベビーシッターさんがお迎えに来たり、EXCELやYPHDというYMCAのアフタースクール・プログラムという日本でいう学童のようなプログラムに入ることで、学校施設の一部を借りて5時半くらいまで滞在できます。
惜しい点3:子どもだけで気軽に遊びにいくことができない
日本だと小学校高学年くらいには自転車に乗って子ども同士が遊んだりする光景が見られますが、カナダではまずありません。代わりに、プレイデートといって放課後にお友達の家に行って遊びます。もしくは、図書館でボードゲームやパソコンでオンラインゲームができるので、小学校高学年くらいになると学校帰りに友達同士で徒歩やバスで図書館まで行き遊びます。息子はアフタ−スクール・プログラムを嫌がり途中でやめて中学生のお姉ちゃんと学校帰りに図書館に行くようになりました。そこでカナディアンのゲーム友達ができ楽しい時間を過ごせるようになったし格段に英語力が伸びたので親としては結果オーライかなと思っています。
惜しい点4:基礎学力の定着に不安
カナダには教科書がありません。また、計算や漢字練習などの毎日の訓練をするといった宿題は出されないので、親としては今学校で何をしているのかが受動的に分かるということはありません。学校では一人ひとりがグーグルアカウントをもっていて、練習問題は先生がグーグルスライドに作って、それに子どもたちが回答する、という形式です。なので、自宅のパソコンから学校のグーグルアカウントに入って、宿題に取り組むのを側で見ることで学習内容を把握することができました。文字や計算の方法は学びますが習熟は期待されていないようです。(実際、計算は電卓を使うようになります)基礎訓練をちゃんとしたい場合はドリルを自宅で取り組むか、カナダにもある公文(KUMON)を利用することになります。いずれにせよ、自宅での頑張りが大事になってきます。お姉ちゃんは最初のころKUMONの英語(カナダでいう国語)に取り組んでいました。
惜しい点5:病院へのアクセスが悪くて医療費が高い
日本だと耳鼻科、小児科など多少待ち時間はあるものの、ちょっと気になったら受診することができましたが、こちらではできません。カナダには耳鼻科がありません。幸いハリファックスには、IWKといってカナダでも有数の小児科病棟があるので、待てば受診できるのですが一回の待ち時間が1〜6時間です。また、娘が骨折したときには、一回約6万円の診察代が請求されて驚愕したのを覚えています。結果的には保険で賄えたので、旅行保険、または医療保険にしっかり加入しておくことをおすすめします!なお、滞在13ヶ月目からはMSIという州の保険に無料で加入できるようになり大人・子ども含めた医療費が無償になります。(歯科、薬代は別料金)オープンワークパーミットという就労ビザを持っていると、滞在月数に限らずMSIに加入できます。
まとめ
いかがでしたか?社会や自然環境などは小さいをおおらかな目線で育てたり子どもたちの表現力や自己肯定感を高めることができると思いますが、技術や学力の習得につながる環境づくりは家庭学習や習い事で補う必要があると言えます。カナダに限らないと思いますが、留学予定の方は、留学前に虫歯をすべて治したり、薬を持っていくなど万が一に備えた準備をオススメします。ノバスコシア州では、就労ビザがなくても13カ月以上滞在した場合にはMSIに加入でき、無償で病院に診てもらえるようになるので、持病がなく日本でそこそこ健康にに暮らせていればそこまで心配はない気もします。ちなみに娘は喘息持ちだったので、日本からたくさん薬を持っていきましたが、こちらに来てから気管支はかなり落ち着いています。環境の相性は来てみないと分からない側面があるかもしれませんが、参考になれば幸いです。