「子どもに英語を身につけさせたいけど、何から始めたらいいかわからない」 「中学受験は考えてないけれど、何か学びのきっかけを与えたい」
実は、我が家も同じでした。 でも親子でカナダに渡って4年、中学生になった娘の修学旅行で気づきました。 英語だけじゃない、「暮らしそのものが学びになる」というカナダ留学の本当の魅力を。
今回は、中学生の娘が体験した現地での修学旅行のエピソードを通じて、 リアルなカナダ留学の姿をお伝えします。
目次
カナダの“就学旅行”が教えてくれたこと
ノバスコシア州ハリファックスの公立中学校に通う娘は、Grade 9(日本でいう中学3年生)。つい先日、学校の卒業旅行に参加しました。バスで1時間半ほどの広々としたコテージで、友だちと2泊3日の楽しい時間を過ごしてきました。
天井が高くて、入った瞬間「すごい!」と感激したそう。いつもの学校の友だちと、いつもと違う場所で一緒に寝泊まりできるなんて、それだけでテンションが上がりますよね。
コテージでは、ウノやツイスターゲームをしたり、みんなが持ち寄ったお菓子をぜんぶ混ぜるキャンディーサラダを楽しんだり。夜遅くまで友だちの恋バナで盛り上がったのも、いい思い出になったみたいです。
食事も驚きでした。宿のスタッフが用意してくれたんですが、1日2回のスナックタイムつき!「まだお腹すいてないのに、また食べる時間?」と笑いながら、いわゆる「北米スタイル」を体感してきました。

1日2回のスナックは食べ切れない量
自由時間は芝生の上でバレーボール。青空の下で普段あまり話さない友だちとも自然につながれて、娘にとってはすごく貴重な体験になりました。
最終日のキャンプファイヤーでは、みんなで歌ったり、リピートアフターミー形式の歌*で盛り上がったりと、なんだか映画のワンシーンみたいだったそう。大人数ならではの特別な空気感に、「ずっと忘れられない思い出ができた」と話してくれました。
*リピートアフターミー形式の歌とは、リーダーが歌ったフレーズを、みんなでそのまま繰り返す形式の歌のことです。
例:
リーダー:「I said a boom-chicka-boom!」
みんな:「I said a boom-chicka-boom!」
リーダー:「I said a boom-chicka-rocka-chicka-rocka-chicka-boom!」
みんな:「I said a boom-chicka-rocka-chicka-rocka-chicka-boom!」
…というように、リズムに乗せて掛け合いしながら歌っていきます。
キャンプファイヤーやチームビルディングの場面でよく使われていて、英語が得意でなくても楽しめる、参加しやすい歌です。
カナダの学校では、こうしたイベントが日常に散りばめられていて、親としても見ているだけでワクワクします。娘の表情が輝いているのを見て、「カナダの中学生ライフ、楽しそうだな」と改めて感じた出来事でした。
【カナダ留学の価値①】“暮らし”が学びになる社会
娘がカナダの学校生活を送っていて気づいたのは、勉強だけじゃなくて、日々の暮らしそのものが大きな「学びの場」になっているということです。
修学旅行でも、自由時間にバレーボールをしながら友達と自然にコミュニケーションを取ったり、ゲームを通して友だちと協力したり。普段の授業では学べないような「人との関わり方」を、毎日の生活の中で自然と身につけています。
特に印象的だったのは、キャンプファイヤーの時間。先生や生徒が一緒になって歌を歌い、自然とみんなが一体感を持てる空間がそこにはありました。誰もが気軽に参加できて、無理に目立とうとしなくても居場所がある。その空気感がカナダの学校文化の素敵なところだなと感じました。

仲の良い友人と。
また、カナダの学校では、成績やテストの点数だけで子どもを評価するのではなく、子ども自身がどんな人間に育っているのかを見守ってくれる雰囲気があります。勉強が苦手でも、友達との関わりが得意だったり、人を笑わせるのが好きだったり、個性を大事にしてくれる環境が整っているのです。
娘は以前よりも自分の意見をはっきり伝えたり、自分自身のことを肯定的に捉えたりするようになりました。「勉強が得意かどうか」ではなく、「ここにいて楽しい、居心地がいい」と感じられることが何より大切なんだと、カナダ留学を通じて改めて気づきました。
こういった日常そのものが「学び」になる社会の中で、娘は少しずつ、でも確実に成長しています。
【カナダ留学の価値②】言葉以上に伝わるものがある
カナダに来たばかりの頃、娘は言葉の壁に戸惑うこともありました。でも、4年が経った今、英語力が伸びただけでなく、それ以上に大切なことに気づいたようです。
「学校生活で、細かいニュアンスをうまく言葉にできないときでも、なんとかなる」と娘は言っていました。実際、カナダの学校では、先生も友だちもじっくり話を聞いてくれたり、言葉以外の表現でも理解しようとしてくれたりする、そんな優しい空気があります。
特に来たばかりの頃は、簡単な単語で意思を伝えたり、ジェスチャーや表情を使ったりと、言葉以外の工夫が大きな助けになっていたようです。そうやってコミュニケーションを重ねるうちに、「伝えたい気持ちがあれば、ちゃんと伝わるんだ」と実感するようになりました。
言葉が完璧でなくても、自分の思いが通じた喜びや、理解してもらえる安心感。それは娘にとって、大きな自信につながったように思います。「英語力」よりも、「相手とつながろうとする気持ち」や「伝えることの楽しさ」に出会えたことこそ、遠く日本からカナダに来て得た一番の価値だったのかもしれません。
この経験は、娘だけでなく私自身にも影響を与えました。英語が完璧じゃなくてもいい。「伝えるって、こんなに楽しいんだ」と、家族みんなで気づけたことは、何よりの学びでした。
カナダでの中学校生活は、まさに「言葉を超えた心のつながり」を育んでくれる場所だと感じています。
【親目線】中学生での留学がもたらした変化と安心感
親としては最初、「留学なんてハードル高いし、子どもが馴染めるかな…」と不安ばかりでした。でも、実際にカナダで暮らし始めて4年。今の娘を見ていると、あの頃の心配は何だったんだろうと思うほどです。
中学生になった娘は、国籍関わらず友だちと積極的にコミュニケーションを取るようになりました。自分の気持ちをはっきり伝えたり、何かを始めるときに躊躇しなくなったりする姿を見ていると、改めてカナダに来てよかったなと感じます。
親子留学は、子どもだけでなく親自身にとっても大きな刺激になります。娘がカナダでボランティア活動や様々なプログラムに挑戦をするのをそばで見ていると、「私も何か新しいことをしてみよう」と自然と思えるようになりました。
カナダの学校は勉強や競争を最優先にするのではなく、子どもの個性や可能性を引き出すことを重視しています。だからこそ、親も焦らずに子どもを見守れる。親子ともにストレスが少なくなり、自然と「子育てを楽しむ」ことができるようになったと感じています。
カナダ留学は特別な人のためだけではなく、「ちょっと試してみようかな」という気軽さで選んでみていい。そんなことに気づかせてくれた、私たち家族にとってかけがえのない経験となっています。
【まとめ】中学生のカナダ留学=特別じゃない未来の選択肢
「留学は飛び道具じゃない」——これは私自身が、親子でカナダに暮らして強く感じたことです。
「留学」と聞くと特別な準備や高いハードルをイメージしがちですが、本当はもっと自然で、普段の暮らしの延長線上にあるもの。中学生の娘が実際に体験した日常の中で感じたこと、身につけたことは、英語力だけではありませんでした。
友だちとの関わり、自分を表現する楽しさ、そして自信——日々の普通の暮らしのなかで自然に育っていくものばかりです。
完璧に準備をしてからではなく、少しずつ情報を集めながら、自分たちに合ったタイミングを見つけていく——そんな始め方もあるように思います。
子どもの可能性を広げる選択肢のひとつとして、「中学生のカナダ留学」という道もあるんだな、と感じてもらえたら嬉しいです。