<PR>こんにちは、子ども教育キャンバスのHaruです。カナダに来て3年、デイケアで働きはじめて丸2年経ちました。毎日英語を使って仕事をしていて、上達を感じるときもあればうまく言えずに悔しい思いをしたり。ということで、毎日英語の勉強は続けているのですが、最近気付いたことがあります。それは、
自分が英語で返せないとき、「英語で何て言えばいいのか分からない」以前に「そもそも自分は何を言いたいのか?」分からなくなるときがある。。。これって日本語の問題じゃない?涙 英語力を上げたいなら、まず日本語力もあげないといけないのでは?(haru)
ということでした。
近年の研究では、日本人の英語力は112カ国中78位と低迷しており、その原因の一つに母語である日本語力の不足が指摘されているそう。本記事では、なぜ母語である日本語の読書が英語力の向上につながるのか、その科学的根拠と実践方法についてご説明します。
大人や小学校高学年になってから日本を出て海外に来たお子さんなど、日本語が第一言語だと認識している人はぜひ参考にしてみてください。
思考言語としての母語の重要性
私たちの脳内では、思考のほとんどが母語で行われています。これは単なる習慣ではなく、認知科学的な必然なのだとか。ジム・カミンズ博士の「言語相互依存の氷山説」によれば、水面下の認知能力(思考力や判断力)は日本語と英語で共通しており、この基礎があってこそ外国語の習得が可能になると説明されています。
- 言語学者Jim Cumminsの「相互依存仮説」によれば、第一言語(母語)で培った認知・学習能力は、第二言語の習得に転移します。
- 脳科学研究では、母語での概念理解が深いほど、その概念を第二言語で表現する際の正確性が増すことが示されています。特に、言語化能力は聴き取り力にも密接に関連しており、表現力が高いほど他者の意図やニュアンスを理解しやすくなります。
- 母語は私たちの思考を構造化し、世界を理解する基盤となっています。このため、母語力が限定的な場合、外国語でのコミュニケーションにも支障をきたす可能性があります。

ジム・カミンズ博士の「言語相互依存の氷山説」
引用元: Suzuki Speech Therapy: バイリンガル児の言語発達 ジム・カミンズ博士の “The Iceberg Model of Language Interdependence”
第二言語習得の限界理論
第二言語の習得には、興味深い特徴があります。
- 言語学者Stephen Krashenの「言語習得仮説」では、第二言語の習得レベルは、母語の理解度を超えることは稀だとされています。これは特に大人からの外国語学習において顕著です。
- 認知言語学の研究では、抽象的な概念の理解は、まず母語で形成され、その後第二言語に転移することが示されています。このため、母語での深い理解なしには、外国語での十分な表現力は得られません。
参考文献:『バイリンガル教育の方法』(中島和子著)では、この現象が詳しく解説されています。特に、幼少期からの読書習慣の重要性が強調されています。
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日本語力が英語学習に与える影響
母語である日本語の力は、以下の点で英語学習に大きく影響します。
- 語彙の概念理解:日本語での豊かな語彙力は、英語の単語の本質的な理解を促進します。特に、抽象的な概念や複雑な表現の習得に重要です。
- 文章構造の把握:日本語で複雑な文章構造を理解する力は、英文読解力の向上につながります。論理的な思考力も同時に養われます。
- 表現力の転移:日本語で培った表現力は、英語での表現の幅を広げます。特に、ビジネスシーンでのコミュニケーション能力向上に効果的です。
実践方法:日本語読書のすすめ
効果的な読書方法として、以下がおすすめされています。
- 多様なジャンルの読書:小説、評論、科学書など、様々な文体に触れることで、表現力が豊かになります。これは後の英語学習での理解力向上にも直結します。
- 深い読み込み:単に読み流すのではなく、文章の構造や表現を意識的に観察します。特に、要約力と感想を書く力を養うことが重要です。
- 推奨書籍:『日本語の作文技術』(本多勝一著)、『理科系の作文技術』(木下是雄著)に加え、『大人のための国語ゼミ』(野矢茂樹著)などに取り組むことも効果的です。
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期待される効果
- 言語感覚の向上:母語での読書量が増えることで、言葉のニュアンスへの感受性が高まります。これは外国語学習でも重要な基礎となります。
- 思考力の深化:複雑な内容の文章に触れることで、論理的思考力が養われます。この力は、どの言語を使う場合でも必要不可欠です。
- 英語力への転移:母語での深い理解は、英語学習の質を向上させ、より効果的な学習を可能にします。特に、TOEIC900点や英検1級レベルを目指す場合に重要です。
まとめ
英語力の向上には、母語である日本語の基盤を固めることが不可欠であることがわかりました。英語に限らず日本語での日々の読書を通じて、言語力の土台を築いていけたら、世界も広がるしきっと楽しいのではないでしょうか。
いままで「英語力アップするためには英語の本を読まないと」と思うあまり日本語の本を読むことに罪悪感を覚えてたけど、長い目でみたら日本語力は英語力向上に貢献するってことですよね。質の高い日本語の本を選ぶ必要はありそうだけど、たくさんインプットして地頭力を鍛えながら英語力をさらに高めていこうと思いました^^(haru)