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カナダにきて2年たち、それとなく英語力・英会話力も伸びてきた子ども達。学年も上がってきたことだし語彙力の底上げをしたい!でも塾に通うとかではなくリーズナブルに、送迎の手間もかけずに生活の中で英語力を高められないか?と思い「英語多読」を取り入れようと思いました。
しかし、図書館で大量の英語の本を前に思ったのは「(大学受験英語の勉強しか経験がない=)英語の本を読んで英語を身に着けた経験がない自分が、楽しみながら英語力アップにダイレクトにつながる本を見つけるのは難しい」「子どもに合ったレベルが分からない」ということ…
闇雲に英語の本を読むのではなく段階的に英語力をあげられる英語本を知りたい。英語多読のロードマップを知りたい!できれば作りたい!そんな思いで調べてみたところ、英語多読を専門とする組織の発行物など、いくつかの有益な情報に出会ったので、レポートしたいと思います。この記事では以下の情報を参考に、小学生や中学生以上が英語多読をはじめる際の基礎知識と本の選び方について紹介します。
記事作成にあたり参考にした情報
・多読指導ガイド/国際多読教育学会(the Extensive Reading Foundations, 略称ERF)
多読(ER)をサポートし、推進するための非営利団体。英語学習者用段階別読み物(Graded Readers)の評価、多読研究の目録作成、多読プログラムの指導支援などを行う。
・英語多読指導ガイド/日本多読学会
日本の外国語教育において学習者が学習言語で年間100万語以上読書可能となるような学習環境が作れるように設立された団体。 辞書を使わずに、直読直解でやさしい本をたくさん読む多読を利用した英語教育を提唱している。
・書籍
英語多読法 やさしい本で始めれば使える英語は必ず身につく!(小学館101新書)/古川昭夫著
目次
多読とは?
日本多読学会は「英語多読」を次のように説明しています。
英語多読とは?
・辞書をできるだけ引かない
・もとの英文を日本語に訳さない
・理解度80%〜90%(理解度100%にこだわらない)
・大量に長時間、英語の本を読む
多読によって自然な文脈の中で使われる表現に出会うことで語彙を増やし、英語のセンスが磨かれ文脈の中で文法がどのように働くのかの勘を養うことができます。
理解度と読書量を一定レベル以上で維持しながら読む
英語多読の効果を効率的にあげるには、本の理解度を70%以上にキープしながら年間30万語の読書量を確保することが大切になります。
自分に興味のない本だと続かないし、興味があっても知らない単語があまりにもあると読書が進まないので、自分のレベルや興味に合った本を選ぶことがとても大切になってきます。以下で多読に適した英語の本の選び方と進め方を説明します。
多読に適した英語の本は2種類ある
多読に適した英語の本は、英語学習者向けの段階別読み物を選ぶと効果的です。なぜならこの手の本は重要な語彙が繰り返し登場するように作られており、自然と新しい語彙を増やすことができるためです。
この段階別読み物は大きくわけてLeveled ReadersとGradedReadersという2つのタイプがあります。
LRとGRの違い
Leveled Readers(通称LR):英語を母国語とした人向けの本
易しいものは1冊50 語程度の単語で書かれていて英文も非常に簡単な構造。挿絵と朗読CDがあれば英語初心者でもそれなりに理解できる。代表的なものに、イギリスで出版されているOxford Reading Tree がある。
GradedReaders(通称GR):英語学習者用に開発されたシリーズ
英語の文法、英語の単語が丁寧に制限。基本単語も200語だけのものから3000 語で書かれたものまで、読者の語彙レベルにあわせた本が用意されている。基本単語や表現が繰り返し出てくるように工夫されているので、同じシリーズの同じレベルのものを大量に読むことによって、自然に語彙や文法を強化できる。
日本人学習者の「読みやすさ」を数値化した指標 を参考にする
Graded Readersは、7 段階にレベル分けされていますが発行出版社によってレベルがまちまちだったりします。そこで各GR を比較して、統一的に同じレベルに数値化し、さらに総語数、フォント、行間、イラストなどの要素も加味し、日本人学習者が感じる「読みやすさ」を数値化したものがYL(Yomiyasusa Level)になります。英語多読学会では、Pearson English Readers, Oxford Bookworms の標準的な本を基準に、本の難易度を 0.0 から 9.9 までに数値化して決めています。
英検とYLの換算、その他の指標
英検を目指されている人も多いと思うので、英検とYLの指標の換算を参考までに紹介します。
日本多読学会による「英語多読指導ガイド」では次のように説明されていました。
英検とYLの換算
英検 1級で YL4-6、準1級で YL1.5-4.5、2 級で YL1.0-2.5、
準2級で YL0.5-1.0 、3級以下で、YL0.1-0.5位
(「英語多読指導ガイド」より引用)
小学生の場合は、英検レベルよりさらに易しい本をたくさん読んでもらう方が、後々しっかり伸びていくそうです。
実際に本を手にとってみて、以下の基準を参考に確認するのも有効です。
本を選ぶチェックポイント
・知らない単語が全体の5%以下
・理解度7割〜9割
なお、理解度7〜9割の確認方法は、巻末の問題で理解度をチェックして7割以上正解したかどうかで判断できます。
英語力を高める本の読み方5つ
漠然と読むのではなく次の5つの点に注意しながら読み進めると英語力が高まります。
(1) 自分の力にあった適切な(=易しい)レベルの本を読む
(2) 語彙を定着させたいなら、GR の巻末にあるGlossary を利用して、読んだ本に出てきた語彙を復習する
(3) 分からない部分は何回か読みイラストも見て前後の関係から納得できるまで理解して読む
(4) 代名詞を「それ」「彼女」と理解するのではなく、代名詞が具体的に指しているものを思い浮かべながら読む
(5) 英語では繰り返しを避けるために違う言葉を使ったり省略することが多い。そういう部分を読むときは
「どの語の言い換え」「どの語が省略」ということを意識して読む
(英語多読指導ガイドより引用)
まとめ
多読は、教科書の範疇を越えたより実践的な英語四技能を身につけることができる、そんな取り組みといえるでしょう。英語多読に適した本を選ぶ際には、Leveled ReadersとGraded Readersが有効なこと、本のレベルは知らない単語が全体の5%以下であり、理解度が7割〜9割の本を選ぶことが英語多読を続けられる=英語力がアップすることが分かりました。英語多読のより具体的な方法を知りたい方は本記事で紹介したこちらの本を見てみてください。