こんにちは。子ども教育キャンバスのHaruです。
突然ですが、
「英検は合格したけど、結局しゃべれるようにならない…?」
そんなモヤモヤ、感じたことありませんか?
今回紹介するのは、インターナショナル幼稚園を経て英検中心の学習をしてきた親子が、一歩踏み出してカナダ・ハリファックスで“親子留学”に挑戦したリアルな体験談。
英語のこと、学校生活のこと、子どもたちの成長のこと。
たくさんお話を聞いたので、この記事は【前編】と【後編】に分けてご紹介します。
まずは【前編】からどうぞ!
目次
お話を伺った人・留学期間
- 大阪府在住、父、母(40代)、長男、長女、次女の5人家族
- 2024年8月〜2025年の7月下旬までの約1年間、カナダノバスコシア州ハリファックスに滞在
- 母(Sさん)は語学学校に通い、お子さん2人は現地の公立小学校(グレード4)と中学校(グレード7)にそれぞれ通学。お父さんとお兄さんは日本に残られました。
カナダに来る前の英語の学習状況
- 長女Mさん:1歳半からインターナショナル幼稚園、その後公立小学校に通い、英検準2級(小5)・2級(小6)を取得
- 次女Iさん:3歳半からインターナショナル幼稚園、その後公立小学校に通学
- お兄さん:中1で大阪市の交換留学プログラムでオーストラリアからホームステイ受入れ、翌年に留学を計画していたもののコロナで中止
- 母Sさん:カナダ渡航前に1年間学習(英検3級取得)
英検を通じた英語学習に限界を感じ、親子留学を決意
留学前、お子さんが取り組んでいたのは「英検」を中心とした日本式の英語学習でした。
お母さんはこう振り返ります。
「1歳半からインターに通い、公立の小学校に進学してからは英検の勉強を本当に頑張っていて、親も無意識にプレッシャーをかけていたと思います。でも、それだけ頑張っても『英語を話せる』実感が本人にも私にもなかった。だったらもう、強制的に英語を使う環境に身を置きたいと思ったんです」。
そして決断したのが「親子で海外に行く」こと。目指したのは"話すこと"が日常になる暮らしでした。
実はお母さん自身、20代の頃にネイルアートを学ぶためのアメリカ留学を家庭の事情で断念した経験がありました。海外への強い憧れが残っていたことが、親子留学の後押しとなりました。
カナダ・ハリファックスを選んだ理由
当初はオランダやマレーシアへの家族移住や留学も検討していたSさん家族でしたが、最終的にはお父さんが20年前にカナダ・トロントで暮らしていた経験があったことからカナダを選びました。
インターネットで見つけたバンクーバー拠点の留学エージェントと面談を行い、子どもの就学制度などについて話を聞いたといいます。
そこで初めてノバスコシア州ハリファックスでは「保護者が語学学校に通えば、子どもは無償で公立学校に通える」ということを知りました。トロント(オンタリオ州)にはこの制度がなかったので、ハリファックスに親子留学を決めました。
留学準備とビザ取得の流れ・住居の確保
2023年夏頃、まず母Sさんが通う語学学校「Oxford International Halifax」への入学手続きを行いました。必要書類の準備と並行してビザ申請に取りかかり、学生ビザが承認されたのは2024年1月頃です。その後、紹介されたハリファックスの現地エージェントを通じて住居や学校の最終手配を進めていきました。
住まいは、現地エージェント経由で以前親子留学をしていた家庭から「テイクオーバー」という形で引き継ぐことができました。9月に学校が始まる前に現地生活に慣れておきたかったので、アパート引き渡しの3週間前となる2024年8月3日にカナダに入国し、Airbnbに滞在しながら新生活の準備をされていました。
ビザの審査にかかる期間はカナダ移民局のページで確認できます。これはあくまで目安で、タイミングや人によって大きく異なるので早めに動かれることをおすすめします。Sさんご家族のサポートをされたハリファックス現地エージェントさんを直接紹介できますので、お気軽にご連絡ください^^(Haru)
ハリファックスの公立小学校の様子
次女のIさんは小学校3年生の9月からカナダの公立小学校に通い始めました。
「スナックタイムがあることや宿題が少ないことを特に気に入っていたそうです。保護者としても、先生方が子どもたち一人ひとりをよく見てくれると感じていました」(母Sさん)
他のクラスには厳しい指導をする先生もいたようですが、全体的には日本と比べてのびのびとした雰囲気で、安心して学校生活を送ることができたとのことです。
特に印象的だったのは、先生方が学校行事やイベントを心から楽しんでいた様子。ハロウィンや各種行事では先生も仮装して全力で参加する姿に、子どもたちも自然と引き込まれ、イベント全体が一体感にあふれていたそうです。
カナダに来てからお子さんの行動にもうれしい変化が見られました。「カナダに来る前は引っ込み思案な性格だったんですが、次女が『私は変わるんだ!』と自分で目標を定めて、自分から話しかけて友だちをつくるようになったんです」(Sさん)

学校のハロウィンイベントでフェイスペイントを体験。
カナダ現地校のリアルな中学校生活|いじめ・先生・友だちとの関係は?
長女Mさんは中学1年生の9月からハリファックスの中学校に通い始めました。学校生活で聞く英語は、英検の面接の英語よりも早かったそうですが、生活そのものは、「どんな髪型も自由で、ネイルをしても怒られない」といった自由な環境があったそうです。また、「自分のアイデアを伝えると『いいね!』とポジティブに返してくれる雰囲気があって意見を言いやすかったです。」と教えてくれました。
この自由さと多様性に満ちた環境は、Mさんにとって自分を肯定してくれる居場所となっていたようです。
お昼ごはんを食べる場所は自分で探す?!
カナダ・ハリファックスの中学校生活は、「カナダの中学校では教科ごとに教室を移動するさらには、「昼休みになると雨でも雪でも生徒たちは必ず外に出される」といった日本の中学校と大きく異なる決まりがありました。
昼休みはランチタイム20分とアクティビティタイムで構成され、アクティビティに参加しない場合は雨でも雪でも外で過ごすのがルールです。"自己決定"が求められる環境が日常にあるスタイルです。

社会の授業で制作したポスター
生徒と先生との距離感は?
中学校のクラスの規模は日本よりやや小さめ(約27人)で、先生との関係も非常にフラットで温かかったそう。
「先生に感謝の手紙を渡したときには、先生がハグで気持ちを返してくれた。日本では"距離感"を保つことが礼儀になる場面も多いですが、こちらでは「近づくこと」で安心感を共有するのだと知りました」(Mさん)
もちろん先生が叱るときもありますが、手段がだいぶ異なるとか。
「日本では先生に叱られたり、みんなの前で注意を受けたりすることがありますが、人前で怒ることはなくて、必要なときはオフィスに呼び出したりしていました」(Mさん)
子どもの尊厳が守られているのか、先生の口調もおだやかで、威圧的な雰囲気が少ないため、子どもたちは自分らしく過ごしやすかったそうです。
「日本にいたとき、学校内でお菓子を食べた後のゴミが見つかり、全校集会になったことがありました」(母Sさん)。1人の問題行動を全体の責任とみなす日本の風土との違いも印象的だったようです。
カナダでは個々の行動が尊重され、集団意識が強く求められないので、子どもたちがのびのびと自分らしく過ごせるのかもしれません^^(Haru)

Potluck Party(ご飯は持ち寄って開くパーティー)のポスター制作をさせてもらいました
様々な文化的背景を持つクラスメイトとのコミュニケーション
Mさんは、コミュニケーションの手法が日本と違う事もハリファックスの学校生活を通して気付きました。「イスラエル出身のクラスメイトも日常的にハグをしてくれて、距離の近さと情緒の豊かさを感じました。」
「いじめ」の空気はある?
「日本のような周りを巻き込んでの陰湿ないじめは見られず、『合わない人とは距離を置く』というのを目にしました。無理に関わらず、でも排除もしない。」(Mさん)
こうした人間関係のつくり方が、精神的な負担の少ない学校生活を支えていました。
母Sさんは「日本と比べて『学校に行きたくない』と言う日が明らかに減った」と言います。
インタビューの最中に「一生ここに住みたい」とMさん本人がつぶやくことも。その背景には、先生やクラスメイトとの人間関係の心地よさ、そして自分の存在を尊重してもらえる経験があったからかもしれません。
まとめ
カナダ・ハリファックスでの親子留学。
前編では、決断から準備、実際の現地生活スタート、現地の小学校・中学校の様子をお伝えしました。
「インターナショナルスクールを経て、日本で英語を勉強していても、英語を話す機会がない」という課題に向き合い、親子で一歩踏み出したSさんご家族。その挑戦は、子どもたちの英語力や自己表現力だけでなく、価値観にも大きな変化をもたらしました。
「英検の勉強も無駄ではなかったけれど、話す力を育てるには環境の力が大きいと実感しました。」(Sさん)
後編では、親子留学を通じて得た「自信」と「成長」、そして家族の絆についてさらに詳しくお話していこうと思います。
ぜひ、続きもご覧ください!